『痔』との格闘。そして、タイの病院に幻滅…

2019年7月12日

この物語はノンフィクションです。

私が『痔』を通して感じた、タイ医療の現状が少しだけ分かる物語です。。

はじまり

「やばい、ケツが痛い。。。歩くのがつらいぞ。。痔なのか?」

近くの薬局で座薬を購入。

一週間ほど座薬で様子を見るも、治る気配がない。

ダメだ。病院へ行こう。

病院

私は普段、バンコク中心部にある外国人向けの病院ではなく、タイ人の庶民が使っている病院にお世話になっています。

プミボール・アドゥルヤジ病院という名前のタイ王国の空軍が運営する総合病院で、一般の人にも開放されています。

理由は、家から近く、総合病院で、安いから…です。

受診料は無保険で100バーツ(≒350円)くらいの格安です。

家族でお世話になっています。

初診

やはり初診は不安です。

タイの医療はそこそこのレベルにあると思っていましたが、やはり日本ではないので不安です。

 

3時間ほど待たされたでしょうか。やっと診察の順番が回ってきました。

30代くらいの男性の医者でした。

症状を伝えると、

診るから別室へ行ってケツを出せ

と。

まぁ想定の範囲内です。

そしてケツを出して待っていると、机の上にデカい器具が運ばれてきました。

「思ったよりデカいな。あれをこの痛いケツに突っ込むのか・・・」

不安でドキドキしてきた。

「イテテテテテテ…!!!」

思わず声を上げてしまった。

器具を少し入れただけで猛烈に痛い

なかなか奥まで入らないので、医者も格闘を始める始末。

横にいた看護婦の「体を丸めなさい」という指示を受けて、ようやく入りました…。

冷や汗ダラダラ。。

 

いちおう「痔」と診断されました。外と中の両方だと。

 

内服薬と座薬を処方してもらいました。

 

daflonという薬。

診察料が100バーツに対して、この薬は450バーツ(≒1600円)という高額品です。

飲む前にネットで調べましたよ。

日本でも輸入代行で買える有名な薬だと分かって一安心。

血液の循環を良くして痔を治すという外国では一般的に使われている痔の内服薬とのこと。

 

他にも鎮痛剤と、お通じを良くするための粉薬。

2週間の薬生活

期待を込めて飲み続けました。

「見せてもらおうか。daflonの性能とやらを。。」

2週間飲み続けた結果、

少し良くなったかな?痛みの頻度が減ったかな?

という感じ。

でもまだ、時々痛い。

2週間後の再診

何をされるかはもう分かっているのだが、あの激痛を思い出すと震えてしまいます。

2時間ほど待って順番が回ってきました。

今回は要領も分かってる。医者も「ゆっくりやるからね。」と言ってくれてる。

これなら、、

「イテテテテテテてて!!!!!」

やっぱり、いた~~~い!

冷や汗ダラダラだったが、「良くなってる」という診断。

今度は同じ薬(daflon)を「倍飲め」という指示。

高額な薬が倍の量になって、私の懐は痛みを増してますが。。

さらに2週間の薬生活

再び薬を飲み続けます。

「倍の量なんだから、今度こそ効果テキメンだろ!」

と。

数日間、痛みもほとんどなく、

「いけてるんじゃないか?」

と思っていました。

しかし、再診の3日ほど前に下痢で1日3回という排便をやってしまったら、元の木阿弥。。。

痛みが復活しちゃいましたあああああ

「ダメ。。。なのか?ダメなのか?daflon君!」

4週間後の再診

いつもは水曜日だったのに、なぜか今回は木曜日が予約されていた。

2時間ほど待って部屋に入ると、

あれ?担当医が違うぞ?

こちらも30代くらいの男性の医者。

「違う医者が診るのか。」

少々不安がよぎる。

 

そして例によって例のごとく、

診るから別室にいってケツを出せ

痔の痛みは完全復活を遂げているので、

「またあの痛みに耐えなきゃならんのか・・・」

とゲンナリしていました。


医者が部屋に入ってきました。

すると、今回の医者はまず指で触診

「おお!?前と違うぞ」

指くらいならそんなに痛みはない

医者から「痛かったら教えてね」と指示されて、指でいろんな場所を押してみて、痛みの場所を特定しようとしている。

「おお、前の医者よりちゃんと調べてるぞ。」

その触診によって、自分でも痛い場所が分かった

外ではない。中の浅いところのある1点。

「なぜ前の医者は触診しなかったんだ」と医者がブツブツ。仲間割れか?


そこまで確認してから、例の器具を使った。

でも事前に指でローションがまんべんなく塗り込まれたからか、器具を刺されても以前ほどの激痛じゃない。

「神よ。。。助かった。。。」

そんな事しか頭になかった。

 

一通りの診察を終えた後、その医者はなぜか別の医者を連れてきた

そして、その別の医者が再び触診!

「おおおおお???」

 

やっと終わったかとおもったら、3人目の医者が登場

そして3人目の医者も触診

「おおおおおおお???????」

 

なんの祭りだ!!??

私は触診の様子は見えず、後から嫁に教えてもらったんだが、触診した際に出血していたそうな。

 

医者から質問が。

何か変だ。レントゲンとCTをとる。で、問題あったら切る。2万バーツくらいかかるけど、どうする?

「ん? CT? CTってあれ? ドーナツに入るやつか? あんなんで痔の状態が分かるのか?」

私には何をするのか良く分からなかった。

しかし、この痔を治してくれるのなら従おうと考えた。

「OK」

ということで、今日はこのまま絶食して入院だそうな。あぁぁ。。

入院初日

まず採血。

そしてレントゲン。

なぜ胸部レントゲン・・・痔と関係あんのか・・・

不安がよぎる。

 

6人部屋のベッドに通される。

部屋はまぁ普通だった。

もうちょっと陰気臭いのを想像していたが普通だ。

部屋についているトイレも洋式でほっと一安心。

が?

便座がおしっこと水でビショビショやん!

「きたね!どんな使い方してんねん!!」

ほんと「タイ人って洋式トイレの使い方知らないのか?」と思うくらい。

せっかくの洋式トイレが台無しやん!もちっとマトモに使って欲しい。お願いしますよ。

トイレットペーパーもないし、いったいどうやって用を足しているのでしょう。。。あまり想像したくない。

 

そんなこんなで待つこと6時間。

夜18時、やっと人がきて点滴用の管を腕にさして、何かを注射していきました。

夜20時、担架に乗せられて移動。

20時なので一般患者は誰もおらず、静まりかえった病院内を移動です。

どこに連れていかれるのかと思ったら、でっかいドーナツが置かれた部屋でした。

SIEMENSのCTスキャンの装置が鎮座しておりました。

「おぉ、こんな高価な機械が置いてあるのか。つか、ほんとにCTやん。。」

初めてのCTにドキドキし始めました。

まぁ、でも、所詮はレントゲンでしょ。痛みなんかないよね。」

医者から「動かないでね」と言われてスタート。

ドーナツの中に入ると、日本語で「息を吸ってー。はい、止めて」のアナウンス。

おお、日本語だ。さすがSIEMENS製。多言語対応できてんやん。」

1回目のスキャンが終わって、またドーナツの中に。

その瞬間、右手の方から

ゾワゾワゾワーーー

という異常な感覚が全身に広がってきた!!

「な、なんだ!?うぉ、気持ち悪い。吐きそう…

突然の吐き気との格闘。意識もうろう。けっこうキツイ。

そして2回目の「息を吸ってー。はい、止めて」

ドーナツの外にでて分かった。右手の点滴管が装置の薬のところにつながってた。

「何か薬を注入されたのか。。やばいぞ。もう1回やられたら、マジ吐くぞ…」

冷や汗ダラダラ。

医者が近寄ってきたのですかさず

「Finish?」

と聞く自分。

「10minitues」

と答える医者。

「ほえ? えーーまだあんのーー?」

そして3度目のドーナツの中へ。。

「くるのか?きちゃうのか?吐くぞ?吐いちゃっていいのか?」

なすすべなく不安に打ち震えていたが、薬の注入はもうなかったーーー。

本当によかった。。。

後で調べたら「造影剤」が使われていたんですね。

いやー、やばかった。CTスキャンをなめてたぜ。

 

CT検査も終わり、再び担架で病室のベッドに搬送されました。

ここで考え始める私。

 

「CTってほんとにCTスキャンやったな」

痔の診察でCTってやっぱおかしくね?これって『大腸がん』とかそういう内臓の病気を調べてるとしか思えんぞ。

じゃ、切るって何を切るのさ?

もしかして、痔を切るんじゃなくて、開腹手術でもするってことか?

「いや、ケツが痛いだけなのに、開腹?まさかね…」

なんて考えながら眠りに落ちていきました。。

入院2日目

タイの朝は早い。

5時にはみんな起床して、朝の検温と血圧測定です。

 

そして、着替えを渡されて「シャワーしろ!」と。

ちょ、点滴してんのにシャワー??

着替えすら大変なのに、いったいどうやってシャワーすんだよ。

タオルだってどこにある?

「シャワーしろ!」

うるさいな。。

もちろん顔くらい洗いたいが、面倒なことを頑張る気力もない。

「いらない!」

と答えた。

 

隣のベッドに76歳のおじいちゃんが入院されていました。

彼もケツが痛くて数か月我慢していたが、我慢しきれなくなって病院に来たらしい。

服を脱いで見せてくれたが、お腹にビニール袋がぶら下がっている

どうやら、ケツが痛くてイボでふさがっていて排便できないので、腹を切って、腹からビニール袋に排便されるように処置してあるのだとか。

「マジかよ!!!!!」

今もケツが痛くて座ることもできないとのこと。

「ちょっと、ケツを治してやれよ!!!!」

 

その話を聞いた瞬間、凍り付きましたね。

どういうことだ?痔を治すんじゃなくて、腹から排便するように処置して、それでお悩み解消とでもいうのか??

本当にそれが最善の処置なのか?治せないほど痔が悪化しているのか?

医者に対して、超絶不信感が湧いてきました。

もしかすると、自分も同じ事されるかもしれん…

 

午前8時、担当医が病室に登場。

「俺がCTの結果を見たけど問題ない後で別の医者とチェックする。分かるのは午後だ。待ってろ。」

だって。

問題ないということは、切らないってことだよな?よかった。。

って、もう自分でも何が良くて、何が悪いのか、訳が分からなくなってきた

 

午後3時の結果報告。「問題ない。帰っていい。来週また来い」

「ふぅ、開腹手術は間逃れたか。いや、切ると言われても断ったけどな。

ん?じゃ、このケツの痛みはどうしてくれんねん???

 

とりあえず、恐怖病院からは無事解放されました。

そして、私のケツは全然治療にあずかれていないという事実にも直面

 

「もうダメだ。あの病院には期待できん。それどころか、とんでもない処置をされる危険がある!!」

私のタイの病院に対する信頼(?)は完全に地に落ちました

 

CTスキャンが1万バーツ(≒35000円)

その他を合わせて11000バーツを支払い、病院を後にしました。

CTスキャンの結果は「問題ない」の一言のみ。

人間ドックでももちっとマシな説明してくれるよな。。いったい、何の病気がないと分かったんだよ。

どうなってんだよ、タイの病院!!

帰宅後

嫁といろんな出来事を振り返っていました。

 

痔なのにレントゲン・CTスキャン・血液検査された。ケツが痛くもないのに出血したなら、内臓の病気を検査するのも賛成だ。でも、ケツが痛いのよ!問題はケツだって!なぜケツを放置して内臓チェックする?俺は人間ドックに来てるんじゃないんだよ。

 

CTスキャンに1万バーツ。これはタイ人の庶民にとってかなり高額で普通受けない。いや、私のような貧乏日本人にとっても高額だっつーの!どう考えても、機械の元を取るために、押し売りされたんじゃないか?そういえば、医者が3人集まって触診後に話しているときも、やたら「日本人」って言ってたもんな。日本人なら受けるとでも思ったか?

 

初診の際に医者に「他にも痔の患者いる?」「どれくらいで治ってる?」と聞いたら、「いるよ、今日も4人目だ。治るには数か月の人もいるし、1年以上かかる人もいるよ。」という回答。よく考えれば、それ、手術できないってことでは??薬と食事療法しかやってないやろ!

 

隣のベッドの老人は、ケツの痛みは治療されずに、腹に穴をあけられて、、、。それって痔の手術できないってことだよね?だからそんな対処療法になってんだよね??

 

子供の学校の売店の人に痔の話をしたら、「僕もそれになったよ。それはケツじゃなくて腸に問題があるんだよ。たくさん水飲んで野菜食べてたら治ったよ。日本に帰っても切ってもらえないでしょ。」だって。タイでは痔の原因は腸にあるっていう考えが普通なのか?

結論

私の行きつけの総合病院に、痔を手術できる医者はいない

あくまで私の推測です。それを確認するためだけに、また何時間も待って診察を受ける気にもなれない。

他の病院を探すことももうしない。「切る」って言われても怖いっつーの!

ちなみに、日本人がタイで痔の手術を受けたというブログを読みました。外国人向けの病院なら手術受けられるようです。治療費は6万バーツ(20万円強)と高額ですが。

私の痔はどうしよう?

私は日本に住所が残っていて、まだ国民健康保険に入っています。

タイでは無保険です。

選択肢としては

①タイで外国人向けの病院で高額治療を受ける。治療費は、日本で国民健康保険に請求するとしても、書面の提出が面倒そう。。かといって、タイで保険に加入してから受診というのも気がひける。。

日本に一時帰国して治療する。手術は日帰りで済むようだが、経過観察が3週間必要らしい。となるとホテル代がもったいない…

困った。。

悩んだあげく、安心安全を優先して、来週から日本に帰ることにしました。経過観察は1週間くらいで済ませられないかな…。

嫁、子供が心配になってきた

今回の件で、タイの病院に不信感を抱きました。

薬で治るような病気や、骨折といった簡単な病気ならいいんですが、手術という類になった場合に、とても安心して受けられない。

私は日本に帰ればいいけど、嫁子供には健康保険もなく、そうもいかない。

何か大病を患ったら、外国人向けの病院を受診させたい

であれば、「保険に加入しておかないと」と考えるようになりました。

隣のベッドのおじいちゃんが可哀そうすぎる

私はまだ軽微な症状で、普段の生活に大きく支障が出るわけではない。

しかし、おじいちゃんは本当に痛そう。座れもしないし、歩けない。

たかが痔で、なんであんなに苦しまないといけないの?

あの状態が一生を終えるまで何年も続くのか?

可哀そうでならない。

タイの病院には痔の専門医がいないのか?

日本のお医者様がボランティアでタイにきて、こっちの医者に治療法を教えてもらいないものだろうか。。。

日本で受診した際に、ちらっと話してみようと思う。

まとめ

以上、私の率直な気持ちを書き連ねてしまいました。

しかし、私は医者に診てもらって治してもらう立場。

「治せない医者はヤブ医者だ!」と一方的に決めつけるのは行き過ぎです。

国によって医療水準は違いますし、そもそも時代によっても医療水準は違うもの。

仮に今、日本で「ガンが治せない医者はヤブ医者だ!」と言ってみても、単なるクレーマーにしかなりません。

だって、治せないんだもん。

私が通うタイの病院の医者だって、「できる範囲で最善の治療を行っている」ことは間違いありません。

いつの時代、どこの国でも、医者には感謝すべきです。

いつもありがとう。

でも、今回だけは日本のお医者様に頼らせてもらいます…。

日本での治療記です。